エステック処理と呼ばれる特殊な高熱窒素処理技術によって、平衡含水率(空気中に放置したとき木材内部に含む水分)が3~7%に安定します。
通常の人工乾燥材は空気中に放置した場合この数値が20~25%前後となります。木材は通常8%以下の状態では狂いがほとんど生じないことから、エステック処理材はまさしく「狂わない木材」といえます。実際ASE値(抗膨潤能)は最大75%となります。
エステック処理は人工乾燥や燻煙処理とは全く別のものです。人工乾燥は単に木材の内部に含まれている水を抜くというもの、燻煙処理はクレオソート系の成分で表面をコーティングするという考え方です。
これらに対して、エステック処理は24時間~72時間をかけて170℃~240℃で加熱し木材繊維の酸化を窒素で抑えながら、分子レベルで改質させ、別の性質(水を吸いにくい等)に変える技術です。細胞内部のヘミセルロースを分解し水分の吸湿性を可能な限り排除、その後1ヶ月以上外気に馴染ませます。処理直後は含水率0%となり、空気中に放置しても低い平衡含水率を維持出来るため、高い形状安定性と防腐・防カビ・防虫効果が同時に得られます。
熱処理木材の特徴として製造方法や処理温度によって耐久性が大きく異なります。また、輸入品の中には通常の木材と比較して耐久性の向上が認められない木材も学会で報告されており注意が必要です。
ご使用に際しては、日本固有の環境下での実証耐久年数やJIS屋外杭試験(2年間)の結果を確認することをお勧めします。エステック材は公共施設や名湯など日本国内で15年以上の実績を誇り、海外にも輸出されております。その耐久性は国内公的機関での屋外耐久性試験(JIS K 1571)でも裏打ちされ、防腐薬剤処理木材と同等の性能を認められた唯一の熱処理木材です。
木材利用技術開発賞最優秀「林野庁長官賞」の受賞も、こうした実証主義の基本理念と国産杉の高耐久化への貢献が認められたものです。